皆様も手先を使う運動をすると認知症の予防になると聞いた事があるのではないでしょうか。活動の例としてはお裁縫やピアノや生花、簡単なものでは折り紙や塗り絵などが挙げられます。運動では左右の指をバラバラに動かす事や後出しジャンケンなどがネットに記載されていたり、地域の予防教室で行われています。


しかし、ネットの記事や地域で開催している認知症予防教室や運動教室の講師の中には「手を動かす事が認知症に良いらしい」と2次情報(間接的に仕入れた情報、コピペなど)で人に伝えてしまっていて「なぜ認知症に良いのか」をちゃんと説明出来る人が少ないです。


本当に続けてて効果があるのか、成果が出るのかわからない様な不確実なものを継続することは難しいです。また、予防活動に取り組む人が、講師の先生が行うグーパー体操や指折り体操の真似をするだけで、意識的に脳を鍛えられません。


今回は「だから認知機能にいいんだ」「そう言うことなら初めてみよう、続けてみよう」と少しでも多くの方が将来に向けた予防活動を自信を持って取り組める様に、手を動かして認知症予防になるメカニズムの一つをご説明します。


【手を動かす事で働く脳の領域】

人間が体を動かすときは前頭葉にある運動野と言う運動を司る場所が働いてくれます。例えば視覚を司るのは後頭葉、聴覚を司るのは側頭葉などの様に、脳は担当している機能が場所によって決まっています。


運動野と呼ばれる場所は、さらに手や腕を動かす領域、足を動かす領域、顔や舌を動かす領域などパーツごとに分かれています。
ブロードマンと言う研究者が脳機能分布図と言うどのパーツがどの領域で働いているかをまとめた図があります。図を見ていただきながら説明します。
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上の図は脳の運動野の部分で輪切りにした絵になります。脳の表面を大脳皮質と言い、前頭葉の運動野はほぼ脳の真ん中の表面に位置します。イメージとしては輪切りにしたリンゴの皮の部分が前頭葉の運動野だと思ってください。
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脳機能分布図の内側に体の部分が記載され、外側にパーツの絵が書いてあるのがわかると思います。これは運動野の中でも、どの部分がたくさんの領域を占めているかが描いてあります。図を見てみると手の領域と顔の領域が断トツで多いのがわかります。足や体幹などと比べてみても手の方が遥かに大きいです。
脳機能分布図_page-0001
脳の領域が広いと言うことは、手を動かす行為で、広範囲の脳が働き、たくさんの血流が送られ、たくさんの脳細胞が活性化することを意味します。最初にあげた手をたくさん使う活動や運動をするとこれだけ広い範囲の脳が働くからこそ認知機能に良いと言えるのです。


しかし、間違ってはいけないのは、足の領域が小さいからウォーキングは効果が少ないと言うわけではありません。ウォーキングは有酸素運動で全身の血流を高めたり、認知症のリスクである生活習慣病の予防に繋がるため、足を使う運動も大切な予防運動です。


この様に脳を広い範囲で働かせることが出来るからこそ、たくさん手を動かす運動は認知症予防になると考えられています。


認知機能は脳全体の複雑な連携や働であり、上記で説明した手の運動が認知症予防になることは、メカニズムの1つに過ぎないと言う事と覚えていてください。認知症予防は「これをやれば100%予防出来る」と断言できるものが現状ありません。しかし、医学の勉強とリハビリの知識をわかりやすく伝えて、少しでも脳機能に基づいた根拠のある運動方法や情報を発信していきたいと思います。








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