アルツハイマー型認知症は病理学的には「大脳の全般的な萎縮」「老人斑や神経原線維変化」の出現が特徴となっています。

萎縮とは脳の元々の大きさよりも縮んでしまうことを言います。老人斑とはアミロイドβ蛋白という脳に溜まってしまう異物が、シミの様な斑模様で確認できる事を言います。


この老人斑は神経細胞を破壊してしまいますが、実は誰にでも見られるもので年齢と共に増加もします。しかし、アルツハイマー型認知症者の場合は一般の高齢者と比較にならない程の老人斑が確認できます。
また、大脳の広範囲と記憶を司る海馬と呼ばれる部分を中心に蓄積されるため記憶障害を始めとした様々な症状を引き起こします。

 老人斑は認知症を発症する20年前から蓄積が始まっていると言われています。しかし、日常生活に支障が出ないことと、緩やかに進行するため多くの方がだいぶ進行して生活が困難になってから病院に受診をして発見されます。

根治治療は現在は確立されておらず、対処療法(薬物療法や運動療法など)となるため、進行を遅らせる事が大切になります。


アルツハイマー型認知症の発症後の進行経過として
初期(1〜3年)は記銘力(情報を頭に入れる力)の低下が著名に現れ、新しい事が覚えられなくなります。
>記銘力につてはこちらをご参照ください。

日常生活で多く見られるのは「同じ話をする」「日付がわからなくなる」「自発性(意欲)が低下する」
などが挙げられます。個人差はありますが、記銘力の低下から物をなくす事が増えて、盗まれたと被害的な発言も増えます。


中期(3〜10年)は脳全体が萎縮をする事で見当識障害(時間、場所)のため迷子や徘徊が増えてます。記憶力低下も進み記銘力だけでなく保持力の低下のため昔の記憶が曖昧になって来ます。
日常生活で見られる症状は「1人で着替えが出来ない」「言葉が出ずに会話が続かない」「季節感のない服装や同じ服を着る」などがあります。介護量は増えて基本的に日常生活は1人で過ごすことは困難となります。

後期(10〜12年)は意思疎通は困難となり、家族のことがわからなくなります。日常生活で見られる症状は「トイレが出来なくなり、汚してしまう」「何でも口にしてしまう(異食)」などがあります。最終的には完全に寝たきり状態となります。

概ね10年以上の経過をへて進行していくため、介護量が増える中期から長い期間家族は介護中心の生活になることが多く、介護ストレスから家庭内で多くの問題に直面してしまいます。

多くの方が「少しの物忘れは歳のせい」と置き換えて発見が遅れてしまうので誰にでも認知症は訪れる事を念頭において、発症を遅らせるための予防対策に取り組むことが重要になります。



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